銀座の思い出

今日とある場所へ行き、過去にその場所で開催された合コンを思い出したので、その時の合コンの話でも書こうと思う。

初合コンは前の会社に入社してまだ同期と繋がりがあった頃、会社での飲み会の際、よく分からない内に行くという話になっていた。後日詳しく聞くと、男3:女3での合コンで相手は全員看護師らしい。男側は自分とイケメンと顔が濃い人。女側はイケメンの幼馴染とその職場の友人2人。イケメンは言うまでもなく存在しているだけで問題がない人物、顔が濃い人はトークが上手いタイプ。同期の中でもムードメーカー的な人物だった。そして、問題は自分。これといったとりえもなく、話せる話題と言えば競馬の話やネットでつけたニワカな知識。非常に寂しい人間である。

開催日は土曜日ながら、女性側は仕事があり19時くらいからスタートだったような気がする。場所は銀座のオシャレなお店。雰囲気もすごくキラキラしてた記憶。男側は18時30分くらいに待ち合わせしていたが、自分は初めての銀座ということもあり昼過ぎに先行して到着。銀座にWINS(場外馬券売場)があることも事前に調べ、当日の資金をサクっと稼ぐことにした。昼飯は確かWINS近くの蕎麦屋で食べた。競馬は5千円くらい負けて撤退。こんなはずではなかった。

競馬も終わり、待ち合わせまで1時間以上あるので銀座の街をフラフラすることにした。お店の場所も予め確認する目的もあったが、全く見つからなかった。行くと分かるのだが、銀座の街は似たような店が多くあって、少なくとも自分にとっては、今どこにいるのかが分からなくなってしまう。これも勝手なイメージだが、銀座にあるようなオシャレなお店は看板などで店名を強くアピールしていない。一つ一つ確認して初めて気が付くようなレベルで書いてあるので、探すのに大変苦労した。かれこれ1時間くらいさまよってようやく見つけた気がする。すぐ店を見つけてどこかのカフェでゆっくりしようかと思っていたが、そうもいかなくなってしまった。こんなはずではなかった。

待ち合わせ時間になり、同期2人と合流。彼らは割りと仲がいいのだけど、自分はそこまででもないので、話す2人の後を黙ってついていく。気を遣ってたまにこちらに話しかけてくれるのが、なんだか疎ましくすら思ってしまう。待ち合わせ場所から店までは10分程度だったが、とても長く感じた。彼らも店の付近まで来て、なかなか見つけられずにいたが、店の場所は黙っていた。事前に店の場所を確認していたことをなんとなく言いたくなかった。器が小さいのである。一緒に探すフリをしながら、心の中では「はよ見つけろ」と思っていた。最終的には女性側の幹事(イケメンの幼馴染)が現れて店まで連れて行ってくれた。こんなはずではなかった。

店に入ると、既にもう1人の女性は先に来ていた。後1人は遅れてくるらしい。とりあえず簡単に挨拶を済ませて、自分は女性側幹事の隣に座った。もう1人が来るまでは待とうということで、お酒なしの状態で頑張って話す状態になった。ここでコミュ力のある顔が濃い同期が頑張る頑張る。自分と言えば、相槌を打ったりするだけだった。隣に座った意味がほぼなかった。15分くらいして、最後の1人が到着して、ようやくスタート。お酒さえ入れてしまえば、少しは話せるようになると思ったが、なんとなく女性先導で喋る空気ができており、あまり自分から喋ることができなかった。頑張って喋らなくてもいいのであればと一旦落ち着いて、女性3人を見渡す。幹事は気が強そうなタイプ、でも明るい感じで話すのでいい子なんだろうという印象。最初からいたもう1人の子は顔はタイプ、でもそこまで自分から話す感じではなく、たまに発言する程度。可能であればこの子がよかった。最後に来た子は少し太めの子。よく喋っていたがデブはNG。

全体の時間は2時間程度だったが、正直何を話したかまでは覚えていない。イケメン同期と顔の濃い同期が中心になって話をしていたはず。女性側は幹事と太めの子がそれにいい感じで反応して盛りあがっていた。で、たまに好みの子が喋ったり、自分が喋ったりで進行していった。盛り上げようと思って、その日競馬をして負けたことを話したら、女性側の反応が薄かった。やっぱりギャンブルはダメですね。

21時近くになり、終了。お店を出たが翌日予定があるとかで、2次会もなく女性たちは帰宅してしまった。連絡先は交換したものの、多分これはダメなパターンなんだろうなと思った。同期2人もなんとなく察している雰囲気。とりあえず全員にメールを送ったけど、帰ってきたのは幹事の子だけだった。それとなく2人で池袋で飲もうと誘ってみたが、また皆で飲もうとかわされてしまった。当時はまだ若く、それだけで脈なしと見切って連絡を途絶えさせてしまった。

初めての合コンは何の成果もなく終わってしまった。でも、もう少し頑張っていれば何かあったのかもしれない。いつも可能性を自分から断ってしまう。黙っていて望んだ未来がやってくるような生き方をしていない。手に入れたいものは自分から進んで取りにいかなければならない。今、初めての合コンを振り返ってそう思う。

あれから7年。今日もまた銀座WINSに訪れて、欲しいものは手に入らず金を失った。何も学習していない。最終レースが終わり、駅へと向かう途中に思う。こんなはずではなかった。