~についてという文章

仕事をしていると、色々な人に出会う。その形は上司だったり、同僚だったり、後輩だったり、客だったり。それぞれの人生があって、ひとりひとりのこだわりだとか主張があるから、全く話にならないとかでない限り、話を聞いてその人を知ることは面白い。どれだけ金があっても仕事しなければ、出会わなかったと思うと、働くことはいいことだと思う。朝は辛いけど。

 

前職でそれなりの規模のプロジェクトを一緒にやった上司がいた。若々しい人で社内からも社外からの評判もいい人だった。そのプロジェクトで初めて一緒に仕事をしたのだけれども、とてもやりやすかったし、その人と一緒じゃなければ完遂出来なかったとも思う。それだけ有能な人だった。

有能な人だからこそ、仕事のやり方にこだわりがあって、模倣したくなるようなことも多かった。しかし、積み上げてきた経験や元からの性格もあって、完全なコピーは難しくて、自分に出来るのは文章を真似ることだった。

 

その人はメールの件名にこだわりがあったようで、「~について」といった件名は絶対に使わないと言っていた。メールの件名はそれを見るだけでメールの概要が把握できるのがベストだが、「~について」ではそれが難しい。そもそも日本語として「~について」で終わるのはおかしいと言っていた。「~についての打ち合わせ」だとか「~についてのご相談」まで書いて然るべきだとも言っていた。

その人の言っていることは理解できたし、そうあるべきだとも思い、早速真似するようにした。それまでは「~について」という件名を頻繁に使っていたので、件名を考えるための時間が発生するようになった。でも、そのことを時間のムダだとは思わないし、今も自分の中のルールとして徹底している。

自分から何も言わなくても、いつかこの件名に対するこだわりに気が付いてくれる人が出てくることを願う。それまでは仕事を続けよう。そういうこだわり。